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コンサル出版フォーラム〜本はあなたをメジャーにする!
第069号【06/05/29】
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コンサルタントの出版を応援するメールマガジン
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《今週のCONTENTS》
1.『出版業界の基礎知識』
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『出版業界の基礎知識』
おはようございます。
本多泰輔です。
『ダビンチコード』累計1000万部突破だそうです。
すごいですね。
日本人の12人に一人は手に取ってるんですからね。
買った人は半分くらいでしょうけど、それでも500万人!
24人に一人が読んでいます。
角川書店の海外文学は割合質がいいと思ってましたが今後ともがん
ばっていただきたいものです。
さて、本日の表題です。
別に出版社に就職しようってわけでもなし、なんでいまさら業界の
ことなど、知らなくても何の痛痒もないわ、とお思いでしょうか。
実際そのとおりですなんですが、碧天舎倒産騒ぎをきっかけに共同
出版業界の内側を知るに至り、もう一度この辺の情報を知っておい
てもらったほうが良いかなと思った次第です。
別に他社の商売を妨害するつもりは毛頭ありませんし、自費出版と
いうのは出版文化を支える土台ともいえる立派な仕事だと思ってお
ります。
実際に扱ったものも含めて、私の知る限りでも自費出版から話が始
まりベストセラーになったものは、10万部以上のものだけに絞っ
ても10点以上はあります(25年間で)。
一方、著者を口説き満を持して出版したものが鳴かず飛ばずの大不
良在庫になったことも枚挙に暇ありません、というより数え切れま
せん(同じく25年間で)。
自費出版だろうがなんだろうが売れるものは売れるし、売れないも
のは売れないというのが鉄のセオリーです。
■共同出版というビジネスモデルの不思議
ここで扱いたいのは共同出版、または協力出版と称する新しい(す
でに旧聞かもしれませんが)形態の出版です。
本メルマガ読者のかたのところにも一度や二度は「共同出版しませ
んか」というセールス電話がかかってきませんでしたか。
聞くところによれば、共同出版というのは「このまま埋もれさせる
には惜しいが、売れるかどうかわからないので、著者と出版社でリ
スクを負担しあう形で出しましょう」ということだそうです。
本多には理解しがたいのですが、その初版発行部数は500部とか
300部という極少部数、いくらなんでも少なすぎて市場には回ら
ず、「埋もれさせるには惜しい」作品は文字通り読者の目に触れる
ことなく片隅に埋もれてしまうんじゃないでしょうか。
もったいない。
ジュンク堂や八重洲ブックセンターのように、「すべての本を置く」
という国会図書館並みの志をもち、スペースをやりくりできる書店
でしたら、ぽつんと一冊搬入されても棚に挿しておくでしょうけど、
ほとんどの書店にとっては少部数の本は扱いに困ります。
ゆえにすぐ返します。以前に「即返(入荷即返品)」と書きました
が、決して冗談ではありません。
だから共同出版の会社のほうでいくつかの書店と契約し、棚をキー
プしているとのこと。
「埋もれさせるには惜しい本」はとりあえず世間の風に当たること
ができました。
よかった、よかった(しかしけっこうお金かかりますね)。
もうひとつ、あげ足をとるみたいですけど「売れるかどうかわから
ない」本は、普通出版しません。
売れると思ってたって売れないのが本なのに、売れるかどうかわか
らないけどやってみましょうなんて、社長がそう言うのでもない限
り絶対に企画会議を通りません。
■多品種大量見込み生産
出版が初速重視、短期勝負、短命になっているということは前にも
何度もここで書きました。営業的にはハイリスク、財務的に云えば
高コスト体質なのです。
多品種なのは元からですが、見込み生産というのるかそるかのバク
チを打っている出版業界からすれば、初版500部で商売ができる
ならこれに過ぎるものはありません。
明治大正時代までは、大手版元も初版はこのくらいの数字から始め
ました。
当時は委託制度というものはほとんどなく、書店注文は買い切りで
あり、一方書店は読者(お客)に新刊案内で予約注文をとるという、
売れる数だけつくるとても堅実な商売をしていました。
基本的にお客の顔が見えているビジネスだったわけです。
それでも10万部を超えるベストセラーは頻繁に出ていたのですか
ら、当時の日本経済の規模から見れば市場が未発達だったわけでも
ありません。
とはいえ、委託制度は禁断の果実、委託によって流通する部数がイ
タク倍増したことは事実です。出版業界はハイリスクでなければハ
イリターンのない世界になってしまいました。
そういうわけで、いまは本を売るだけで会社を維持しようと思えば、
初版5000部以下では立ち行きません。
雑誌があるとか、会員制のビジネスをやっているとか、教科書をつ
くっているとか、別に収入源があるなら無理して大量部数を配本す
る必要はありませんが、単行本、あるいは文庫新書で生きていくに
は、お金をかけないことにはまとまったリターンが得られません。
それは大企業の市場に中小零細が大挙して参入しているような状況
です。ですから出版だけでまともに商売ができる会社は、業界全体
の2割くらいしかありません。
『ハリーポッター』の静山社のように突然上位に躍り出る会社もあ
りますが、あれだけの配本をする以上かなりの資金を必要とします
から、編集プロダクションをしながら時々本を出していた会社が単
独でベストセラーをつくることは不可能です。
■ビジネス書版元の現状
おなじみ版元ランキングでいえば、Fクラスの会社でも平均的な初
版発行部数は8000部でしょう。
販促面では紀伊国屋書店、八重洲BC、その他主力書店には毎週1
回担当営業が訪問していますし、各チェーン店本部には月1回、地
方書店でも名古屋、大阪などの大都市部には四半期に一回は出張し
ています。
新聞広告は日経本紙、朝日には2〜3ヶ月に1回、もう少し安い料
金の新聞だとほぼ毎月。さらに看板、ポップ、あるいは直納、ある
いはフェアとさまざまな工夫と予算を注ぎ込んで売ろうとしていま
す。
本は一箇所だけで売れても部数が伸びません。紀伊国屋書店本店の
ような大型店であれば一日にひとつの本が500冊も売れることは
ありますが、普通のお店では1冊から5冊。
したがって同時にあちこちの書店で売れるものでない限り、一万部、
二万部という販売部数になりません。
同時に全国あちこちで売れるためには、さしあたり本が書店に並ん
でなければなりません。全国書店に5冊以上並べるためには、80
00部でも足りないのです。
これら投資額を回収するためには10000部以上売らなければな
りません。それもなるべく早く。500部ずつちょぼちょぼやって
いたのでは半年を待たず倒産です。
金をかけなければ本は売れず、さりとてかけても本は売れず、とい
うのが業界全体の事情なのです。つまり刷部数500部や300部
では到底市場で売れることをイメージできません。
提携書店を50や100持っていたとしても焼け石に水、とにかく
基本ボリュームが足りないのです。
本当は1反の田んぼにだけ水を入れたいのに、1反に入れるために
は1000反の田んぼに水を入れなければならない、そういう業界
なのです。
この辺はいつか構造改革の必要に迫られるでしょうね。
■出版社の売る姿勢が大事
ひとつの書店に1冊でもあれば、いつか花咲くこともある。
1冊が2冊、2冊が4冊、4冊が・・・とだんだん口の端に乗り広
まって扱う書店も増え、やがて全国書店に伝わっていくこともある
のではないか。
いや、いい話です。あるといいですね。
でも隕石に直撃されるより少ない確率です。
いまのところ草野心平が宮沢賢治の本を縁日の夜店で発見して以来
ありません。
冒頭に私が挙げた、過去自費出版からベストセラーになったケース
は、いずれも初版8000部で全国書店にしっかりマーケティング
した結果です。
本を多くの人に読んでもらいたい、あるいは一冊でも多く販売した
い、ちょっと志の透明度に差はありますが、著者、作り手が強い気
持ちで販売しようと思い、努力をしなければけっして部数が伸びる
ことはありません。
書店だってつまるところ版元営業の意欲を買って本を並べるわけで
すから、出版社に売る意欲が感じられない本を扱うことはありませ
ん。
そして最前から申し上げている通り、部数やマーケティング努力に
よって版元の売る意欲は量ることができます。書店もたくさんの版
元を見ておりますから、どこがどれだけ本気なのかは手に取るよう
にわかるのです。
はっきり言って300部や500部の本をつくってベストセラーが
ねらえるほど、出版界はゆるい業界ではないのです。
それでも共同出版で本を出す人が毎年3000人以上いるというこ
とは、なにかもっと他の強い動機があるのでしょう。
本が出ること自体が大切なのかもしれません。
そういう意味では付加価値のある自費出版なのでしょうか。
■まとめ
売れる本をつくるためには、本づくりにも金をかけなきゃいけない
時代ですから、近頃印刷費がもろもろ抑えられているのはありがた
いことです。
初版8000部つくるには300万くらいは要りますからね。それ
に宣伝広告費、印税と加わるとやっぱりさっさと重版かけて100
00部を超さないと悲惨なことになります。
しかも本のコストがもっとも高いのが初版発行時ですから、100
0点も2000点も新刊を出す出版社はどういう収益構造になって
いるのか。足元を覗き込むのが怖いでしょうね。
しかし、この原油高で紙は確実に上がってきてますから、一冊の値
段を上げるか、ページを減らすか、各社密かにたくらんでいること
でしょう。
配送コストを考えるとこれまでだったら単価を上げる方向に行くの
ですが、ブックオフの健闘もあり簡単には価格に転化できない時代
ですから、しばらく呻吟することになるのですかね。
ま、本が売れていれば何の憂いもないのですが。
困ったことは売れる本がない。
角川書店と静山社の本だけが売れててもね・・・。
ではまた来週。
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《編集後記》
出版業界事情、いかがでしたか?新卒者向けの業界研究本では決し
て語られない、ディープな内容だったかと思います。大企業の市場
に中小零細が大挙して参入しているような状況、とはよく言ったも
のですね。それにしても私がインタビューしているコンサルタント
の方は、初版8000部をクリアして重版がかかっている方も多い
ですから、本当によく健闘されていると思います。やっぱりただ出
すだけでは意味がなくて、ロングセラーを狙う、という意義を改め
て実感させられました(発行者:樋笠)
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※本メールマガジンの著作権は発行者・執筆者に帰属し、無断転載
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